「ねぇ、黄土朗(おどろう)兄さん・・・
ボクたち母さんには似てるけど、
少しも父さんに似てないと思わない?」
「緑太、ボクも長年それは気になってたんだ。
よし、今日こそ訊いてみよう!」
「ねぇ父さん!なんでボクたちは
こんなにも父さんに似てないの?」
「・・・え?似、似てるじゃないか!
黄土朗は父さんの肩のモサモサに
そっくりだし、ほら・・・緑太は父さんの
シャツの色に こ~んなにそっくりだ!」
「それはだって服じゃないか!」
「あなたもうやめて!
私、もう良心の呵責に耐えられないわ。
事実を話す時が来たのよ・・・あなた・・・」
「蒼蔵と父さんは大の親友だった。そして紅子・・・おまえたちの母さんと蒼蔵は生涯を共にすると約束した仲だった。ある日、平和なこの村に大雨が降ってな。川は氾濫しそうだというのに、村人はなすすべもなかった。そんな時、この村と水が大好きな蒼蔵が溢れ出してた川の水を飲み始めたんだ。それはすごい勢いで・・・。水は減り、蒼蔵のおかげでこの村は助かった。でもその水による疫病で、翌日蒼蔵は息を引き取った・・・。父さんに母さんを託し、「紅子、紅子」と何度も母さんの名を呼びながら・・・。
「・・・分かった、紅子がそこまで言うなら話そう。
―――おまえたち、『水飲み蒼蔵』は
知ってるだろう?駅前の銅像になってる人だ」
  
「その時母さんのお腹にいたのが、
黄土朗・・・おまえなんだよ。」
「蒼蔵父さん・・・、
父さんはこの村を救って死んだのですね。
ボクはそんな父さんが誇りです。」
 「連続自転車泥棒の「ぬすっと紫助」は聞いたことがあるだろう?
指名手配のポスターも貼られてるしな。
彼の盗むものは自転車だけじゃない、
女の心も盗んじまう。
母さんは奴に心を盗まれた・・・
そして緑太、おまえが生まれたんだ」
「で?ボクは?
黄土朗兄さんの後に生まれたボクは?」
「母さんを責めちゃいけない。奴は本当にハンサムだ。女どもはみんな惚れちまう。女だけじゃない。男の父さんだって半分心を盗まれてしまっている。母さんの裏切りを恨むどころか誇りにさえ思っているんだ。」
「いい男…
一緒じゃないか!
決め手は色なのか?!
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